「間に合った……」

片手にビニール袋を下げ、桜の木の前に佇む。 葉の多くなってきたその姿を確認すれば小さく声をもらした。

「……いただきます」

近くのベンチに腰を下ろし桜の姿を眺めていたが直ぐに視線をビニール袋へ移す。花より団子が過ぎるだろうかと考えつつプラスチック容器に入る三色団子を取り出し、手を合わせれば一本を摘み上げた。 #花見会場

団子を嚥下、続いてガラスのカップに入った酒を開けるとひと口呷る。

「たまには、こういうのもいい──…」

しばらくの間、舌鼓を打ちつつ桜を楽しむのであった。